MPA (Market Pegged Asset)
MPA (Market Pegged Asset) は、暗号通貨の一種で、不換紙幣、商品、他 の暗号通貨などの原資産または資産バスケットにペッグすることにより、安定した価値を維持するように設計されています。
MPAの目的は、価格変動を抑え、取引や投資のための安定した勘定単位を提供することです。
MPAの例としては、米ドルにペッグされたTether(USDT)のようなステーブルコインや、暗号通貨のバスケットで担保されたMakerDAOのDAIなどがあります。
MPAの主な特徴は、ペッグされている原資産に対して安定した価値を維持しようとすることです。そのため、ビットコインやイーサリアムといった従来の暗号通貨と比較して、急激な価格変動の影響を受けにくいため、日常的な取引に適しています。
UPCXでの公式なMPAの発行は、UPCXの基軸通貨のUPCを用いた過剰担保方式(Crypto-Collateralized)による発行となります。
暗号通貨での担保方式は、UPCXのスマートコントラクトにより管理されているため、カウンターパーティーリスクを軽減することが可能です。そして、過剰担保は、UPCの価格変動リスクを軽減しより安定したMPAをユーザーに提供することが可能になります。
MPAを発行するスマートコントラクトには、担保比率、担保管理、必要に応じて清算を行う機能などが含まれています。
MPAの発行者は、発行するMPAの数量と設定されている担保比率に基づき、UPCをスマートコントラクトに預けロックします。 UPCXでの過剰担保率(Overcollateralization Rate: OC Rate、過剰担保率)は、200%に設定されています。これは、10,000ドル相当のMPAを発行するごとに、少なくとも20,000ドル相当のUPCがロックされている必要があるということです。
OC Rateが200%に設定されている場合、担保の価値(MPA発行時のUPCの価格が基準となる)が低下した場合のバッファーを提供 します。
対応可能な担保価値の最大下落率を計算するには次の式を使用します。
最大下落率 = (1 - (1 / OC Rate)) x 100
この場合、
最大下落率 = (1 - (1 / 2.0)) x 100
最大下落率 = (1-0.5) × 100
最大下落率 = 0.5×100 最大下落率 = 50.0%
OC Rateが200%の場合、担保価値が約50.0%低下するまで担保を維持できるということです。
発行されたMPAの担保が最低担保比率を下回った場合、UPCXのスマートコントラクトはMPAの担保を清算しMPAを強制的に解除します。この時、ユーザーが保有するMPAがUPCに変換されます。この精算メカニズムにより、MPAエコシステムの安定性を維持します。最低担保比率は100%に設定されています。
MPAの発行者は、担保比率が必要最低限を下回った場合、発行者は担保を追加するか、保有するMPAを減らして残高を回復させることができます 。
MPAの発行者がMPAの償還を希望する場合、発行者がスマートコントラクトにMPAを返却することで、担保としてスマートコントラクトでロックされているUPCを解放することができます。
UPCXでは、担保されているUPCとMPAのリアルタイムで正確な価格データを提供するために、信頼できるプライスオラクルを統合します。これは、正しい担保比率を維持し必要に応じて清算イベントを発生させるために不可欠です。
MPA発行者のメリット
過剰担保方式は、ユーザーの信用を高める反面、発行者には資金的な負担が伴います。
しかしながら、MPAの発行者にはいくつかのメリットがあります。
代表的なものが、UPCXの分散型取引所( Decentralized Exchange: UPCX DEX)での取引手数料の一部が還元されることです。
MPAは、資産管理目的にてDEXで取引されますが、それ以外にもUPCXの基本的なサービスであるクロスカレンシー送金・決済でもUPCX DEXで取引が行われます。
クロスカレンシー送金・決済とは、送金者(支払者)と受取者が異なる資産を利用する取引です。例えば、送金者はJPYとペグされた資産Aを利用し、受取者はUSDとペグされた資産Bで受け取ります。資産Aから資産Bへは、UPCX DEXを利用して自動的に交換されます。
MPAの発行者は、MPAがこのような取引に利用されるごとに、そのネットワーク手数料の一部を受け取ります。
また、ユーザーはネットワーク手数料の支払いにMPAを利 用することが可能です。 ユーザーがMPAを利用してネットワーク手数料を支払う場合、MPAの発行者はその手数料の一部を報酬としてMPAで受け取ります。